『新・平家物語』(吉川英治・作)

  • 2019.03.04 Monday
  • 21:46

おてんき 2.9℃/-2.2℃

 

 

いやぁ〜、長かった。

昨年の秋、10月頃から読み始めて、昨日、やっと読了した。

 

ちなみに、今回読んだのは講談社刊の「吉川英治歴史時代文庫」(全16巻)である。

 

 

 

平清盛の青年時代から始まった物語は、

やがて保元・平治の乱を経て平家の全盛期を迎え、

やがて清盛の死とともに源頼朝が台頭してきて平家は衰退の一途をたどる。

このあたりから、主役は源義経へと受け継がれ、

一の谷の戦い屋島の戦い、そして壇ノ浦の戦いで平家は滅び、

やがては、滅ぼした側の義経も、兄頼朝との確執の果てに奥州衣川で自刃する。

 

その間……

一度は都を占領した木曾義仲も滅び、

源平の対立を裏で操った後白河法皇も亡くなり……

 

物語の初めから終わりまで生きていた人物は、

長命だった西行文覚も終盤には亡くなっているので、

架空の人物である阿部麻鳥を除けば、あるいは法然だけかもしれない。

 

それほどに長い年月(1135年頃〜1200年頃)を描いたこの小説。

古くから読み継がれて来た「平家物語」を土台に、

「源平盛衰記」や「義経記」「吾妻鏡」などのエピソードも織り交ぜて描かれているわけだが……

 

 

残念だったのは、重要なエピソードの多くが織り込まれていなかったこと。

 

例えば、義経弁慶が出会う「京の五条の橋の上〜」のエピソードがない。

源義朝が、知多野間で長田忠致に忙殺された時の「我れに木太刀の一本なりともあれば」というエピソードもなければ、

藤原信頼「日本一の不覚人」と怒鳴ることもなく、

平知盛が入水する時にも、「見るべきものは全て見つ……」とも言わず……

 

なんだか、歴史オタクの期待をいいところでかわしてほくそ笑んでいるような、

なんとも消化不良な感じがしないでもない。

 

 

それでも、ストーリーテラー的存在である阿部麻鳥に、

要所々々で庶民や読者の気持ちを代弁するような行動をとらせることで、

権力者の無力さを浮き彫りにし、彼らへの社会的批判を浮き彫りにしているのはおもしろい。

 

 

長い物語なので印象は雑多になるが……

 

権力を持ちつつも、どこか庶民的で人間臭い平清盛

天才的な才能をもちつつ、心に弱いやさしい部分を多く持ったがために自らを滅ぼしてしまった源義経

超エリートで天才的頭脳を持ったがために周囲から疎まれて滅んだ藤原頼長

目的のためには親族の犠牲も顧みない、冷徹とも言える新年を貫いた源頼朝

田舎者らしい一徹さをもった好漢なのに、自ら得た権力のために自滅した木曾義仲……

 

いかに栄華を誇っても、おごれる人も久しからず

権力や財物をにぎっても、そんなものは只春の夜の夢のごとし

結局は、人生なんて風の前の塵に同じ

 

なんか、虚しくなって来た……

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