『羊と鋼の森』(宮下奈都・作)

  • 2018.06.13 Wednesday
  • 19:28

あめ 13.4℃/5.3℃

 

 

最近映画化されて、話題になっている作品。

 

 

物語は、たんたんと進む。

 

新人のピアノ調律師の青年が、周りの人々との関わりの中で成長して行く話なのだが、

特に大きな事件が起こるわけでもなく、ドラマティックな展開もない。

 

それはちょうど、ピアノの調律をしているような……

少しずつ少しずつ、何かが変わって行く。

 

 

主人公の外村という青年には、名前さえ出て来ない。

容姿に関する記述もない。

だからこそ、いっそう読者のイマジネーションがふくらむ。

自分好みの青年を描けば良いのだから……

 

でも、やはり映画のせいもあるのだろう。

どうしても、山崎賢人になってしまう。

他の登場人物も、鈴木亮平だったり、三浦友和だったり、上白石姉妹だったり……

だから、本当は映像化される前に読みたかったのに……

 

 

たんたんとしたストーリー運びなのに、なぜかとても魅きつけられるのは、言葉の美しさのせいだろうか。

舞台が北海道だということも、イメージしやすいのかもしれない。

作家は、新得町で数年間過ごしたそうだから、あるいはその辺りの風景をイメージして書いたのだろうか。

ちなみに、映画の撮影は、旭川や美瑛でも行なわれていたようである。

そういえば、山崎賢人が映画の撮影に来ているという目撃情報が、かつて飛び交っていた時期があったな。

 

 

美しいのは言葉だけではない。

物語の中の人間関係がとても美しい。

 

まだ未熟な、調律師としてだけではなく、人間としても未熟な若い青年を、

楽器店の先輩調律師や受付の女性、社長たちが、とても温かく見守り、励ましている。

外村青年も、そうした人々の援助や叱咤激励を、素直に受け入れ、成長して行く。

 

こうした光景は、なにも調律師の世界だけではなく、

学校を出て社会人となった人ならみんな経験することなのかもしれない。

 

かつて自分も、

先生になりたての頃、先輩教師や、あるいは保護者の方々から、いろんなことを教えていただいた。

また、吹奏楽部の指導者としても、知多吹連の先輩の先生方に、本当に良くしていただいた。

 

そんな自分が若かった頃のことを思い出しながら、

ほのぼのと温かい気持ちになって読み進めることが出来た。

 

 

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