ロシア国立交響楽団 シンフォニック・カペレ

  • 2017.11.10 Friday
  • 23:59

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チャイコフスキーの後期3交響曲を一度に演奏するコンサートと聞けば、そりゃ誰でもイロモノたど思うよね。

 

しかも、ウワサでは瀑演系のオーケストラだという。

 

もうぼちぼち仕事も終わっているだろう。

ネタがてらオモシロ半分に買ったチケットは、意外に掘り出し物だった。

 

 

ロシア国立交響楽団と紹介された今回のオーケストラは、

モスクワを拠点とするオーケストラで、

State Symphony Capella of Russia、つまりロシア国立シンフォニー・カペラと訳した方が正しいらしい。

 

指揮はヴァレリー・ポリャンスキー

 

ステージはひな壇を全く使わず、木管・金管・打楽器も全て同じ高さのステージにセッティングしていた。

 

こんなオーケストラは初めてで、どんな音が出て来るのか、開演前から興味津々。

 

 

第1部は、交響曲第4番 ヘ短調 作品36

 

いきなりホルンのファンファーレで始まったことに、分かってはいてもものすごい違和感。

この曲を、何の前触れもなしにコンサートで聴くことなんてまずありはしない。

何か、見てはいけないものを見てしまったような衝撃から抜け出すのに少々時間がかかったが、

いざ落ち着いて聴いてみれば、なんと繊細な演奏をするオケなんだろう!

「誰だ? 瀑演だとか言ったのは!」

むしろ人数の多い室内管弦楽団のような演奏。

 

比較的ゆっくりとしたテンポで、フレーズを長くとって、たっぷりと歌い込んでいる。

2楽章は見事にカンツォーナ。テンポを揺らして叙情的な歌を聴かせてくれた。

3楽章のピツィカートの響きの艶やかなこと!

ロシア的な素朴な響きが、チャイコフスキーの音楽と見事にマッチしている。

終楽章はやや盛り上がりに欠け、こんなに興奮しないチャイ4も珍しいけど、

それはコンサートの始まりだからなのかもしれない。

 

この4番は、いわば序曲のようなものなのだ。

 

 

 

第2部は、交響曲第5番 ホ短調 作品64

 

いきなり音が変わった。

堂々として豪快な演奏。

それにしてもアゴーギグが実に自由すぎる。

テンポを揺らしまくってロシア節炸裂!

しかしそれがけして押し付けがましくなく、むしろ引き込まれていく。

 

ここまで聴いて少し疲れた。

この曲のラストは、作曲者自身が「嫌い」と明言するほど作られた終わり方。

これほど堂々とした演奏をされれば、もうコンサートは終わったようなものなのだが……

 

 

 

第3部は、交響曲第6番 ロ短調 作品74「悲愴」

 

テンポをかなり遅めにとって、じっくりと聴かせてくれた。

冒頭のバスーンのソロが鳥肌ものの素晴らしさ。一気にこの曲の中へ誘ってくれる。

1楽章は劇的なまでの激しさ、もの憂さ、そして安らぎ。

2楽章のワルツは、ゆっくりとしたテンポで憂鬱さを前面に出していた。

3楽章の行進曲もテンポは遅くとり、ドッシリ堂々とした構成。

そして4楽章。

こんなにもネットリとした演奏は、話には聞いていても実演に接することはまずないんじゃないだろうか。

 

 

全体を通して……

ファゴット、ピッコロ、フルート、クラリネット、オーボエ、ホルン……、特に木管のソロが秀逸。

あまりいい楽器を使っているという感じはしなかったが、

それを一生懸命鳴らしているという雰囲気が微笑ましく、

オーケストラの奏者も、手を抜くことなく必死で演奏している姿が好印象。

 

良い意味で、期待を裏切られたコンサートだった。

 

 

 

 

 

さて、

これで秋のコンサート鑑賞ラッシュも一段落。

あとは、JAFやあいぷらんの企画コンサートが2つ。

どちらも札幌交響楽団で、

どちらもチャイコフスキー(悲愴と1812年,ピアノ協奏曲,4番)。

今年はチャイコとともに暮れを迎えることになるわけで……

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