チューバ (未発表原稿)
- 2018.03.28 Wednesday
- 21:00
14.2℃/1.2℃
「スイソウガク部でした」と言ったところで、「水槽学?魚の観察をしていたの?」なんて言う人は今時いないと思いますが、
「チューバを吹いていました」と言っても、どれだけの方が正しくその楽器をイメージしてくれるでしょうか。
ボクが音楽を始めたのは中学校で吹奏楽部に入ってからのことです。
それまでは、恥ずかしながら楽譜も読めなければリコーダーも吹けず、音楽の成績はほとんど「1」でした。
そんなボクがなぜ吹奏楽部なんかに入ったのかは、ボクの人生の七不思議のひとつなのですが、
ともかく、それをきっかけにボクは音楽なしでは生きられない身体になってしまったのです。
ボクが吹奏楽部で担当した楽器はチューバ。
実は、望んでチューバを吹くようになったんじゃないんです。
最初はトロンボーンだったんですよ。
だけど、学校がチューバを新しく買ってくれるということになって、ボクに白羽の矢が立ったのです。
いやぁ〜ショックでした。
やっとトロンボーンが吹けるようになって来た頃だったし、見た目もかっこいいし。
なのに、チューバは……。
デカイ!
重い!
カッコワルイ!
おまけに、音は低くてボゴボゴ言ってるようにしか聞こえないし、
楽譜もすごく簡単でやりがいないし、
メロディなんて全然ないし。
でも、他人にはまかせたくないんです。
拍の頭を正確にリズミカルに刻まないと、音楽に躍動感が出ない。
ハーモニーの一番下の音をしっかりと支えないと、美しい響きは生まれない。
すごくやりがいがあることに、だんだんと気付いて……
気が付けば35年以上チューバを吹いています。
楽器も3台持っています。
きっと、知らず知らずのうちにチューバが大好きになっていたんでしょうね。